国立大学法人東北大学 大内 憲明 |
国立大学法人東北大学 石田孝宣 |
はじめに
わが国では、がんによる死亡率が増え続けていることから、国を挙げてがん対策が図られようとしています。とくに、乳がんは女性のかかるがんの第1位であり、30歳代から60歳代では全てのがんの中で乳がんの死亡率がトップとなっています。特に40歳代で乳がんを発症する方が急増しており、よりよい乳がん検診の開発が急務となっています。
研究の目的
乳がん検診は、現在、国の指針ではマンモグラフィ検査(乳房エックス線検査)が基本とされています。最近、超音波検査を使った診断方法も開発されていますが、まだ乳がん検診における有効性および利益・不利益については確かめられていません。そこで、厚生労働省は国家的プロジェクトである「がん対策のための戦略研究」として、「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験」(J-START)を立ち上げました。
研究の内容
日本全国の各地域で乳がん検診を行っている関係機関・団体のご協力を受けながら、40歳代の女性の方々、約12万人を対象に、マンモグラフィ検査に超音波検査を併用する検診と、併用しない検診(通常通りの検診)を実施して、両群の間で、検診の精度(確かさ)、利益・不利益および有効性を明らかにする大規模な比較試験です。超音波検査を併用するか、しないかは研究の科学的妥当性を保つため、中央データセンターにより無作為(ランダム)に割り付けられます。
参加するには
乳がん検診を受ける際に、検診会場にて研究の内容についてご説明します。研究への協力に同意いただいたあと、超音波検査を併用するか、併用しないかのいずれかに割り付けさせていただき、その結果に応じて乳がん検診を受けていただきます。みなさまのご協力が、乳がんの克服、さらには日本のがん対策を推進します。
2007年9月